日記を書くのが好きだ。ちょっといい紙に、お気に入りの万年筆。紙とインクを使っているだけで、こころが落ち着いてくるのが不思議だ。
ゆっくりと、今日あったことを思い出しながら。楽しかった時間も、嬉しかったことも。嫌だった瞬間も、辛かった気持ちも。味わいなおすように、綴っていく。
その日、その瞬間を味わうということ。
時計の時間よりも、自分の中に流れている時の流れを感じること。
机の上、 光の中でたゆたうお香の煙を見つめる。 ただただ、眺めていたくなるもの。 意味もなく、うつくしいと思えるものがあることに、 涙が出そうになった。
---- ライター/大学生 28歳 (カデカワミズキ)
この日々を寄稿くだ去った方の選書:
ヴェネツィアの宿 / 須賀 敦子
"ヴェネツィアのフェニーチェ劇場からオペラアリアが聴こえた夜に亡き父を思い出す表題作、フランスに留学した時に同室だったドイツ人の友人と30年ぶりに再会する「カティアが歩いた道」。人生の途上に現われて、また消えていった人々と織りなした様々なエピソードを美しい名文で綴る、どこか懐かしい物語12篇"